∠∠∠∠∠∠∠∠∠∠ メルマガ back number のご紹介 ∠∠∠∠∠∠∠∠∠∠
◇◇低価法の会計&税務処理〜企業会計、税務◇◇
1.概要
「棚卸資産の評価に関する会計基準」が平成21年3月期から適用され、棚卸資産の評価基準として低価法が適用されることになりました。税務との関係、及び中小企業への影響を解説します。
2.会計処理
棚卸資産は、期末時点で正味実現可能価額が帳簿価額より下回っている場合は、正味実現可能価額で評価することが必要となります(低価法)。従来は、原則として帳簿価額で評価する原価法、例外として低価法の採用が認められていましたので、原価法を採用していた会社は評価方法の変更が必要となります。ここでいう正味実現可能価額とは、売却時から、売却までにかかる追加費用を差し引いた額となります。また、市場価格がないものについては、合理的に算定された価格をもって時価とします。
3.税務処理
税務においては、原価法と低価法が認められていますので、原価法を採用している場合は税務申告書上で調整が必要となります。なお、原価法から低価法への変更も可能ですが、事業年度が開始される日の前日までに、税務署に対して変更承認申請書の提出が必要となりますのでご注意ください。
また、低価法により時価で評価した場合、特に市場価格が明らかでない資産を対象として時価評価している場合は、「税務調査において否認されるのでは」と心配される
ところです。しかし、現在の国税庁の見解では、企業会計上適正な会計処理による評価損であるならば、税務上も損金算入が認められるようです。
4.中小企業の会計
「中小企業の会計に関する指針」において、「棚卸資産の評価は時価が帳簿価額より下落し」、かつ、「金額的重要性がある場合」に時価評価が求められており、従来の
原価法の適用で問題ないものと思われます。(従来通り、回復の見込みがない時価の著しい下落は、原価法であっても時価評価が求められています。)
これは、個々の棚卸資産について簿価と時価を比較することは、中小企業ではコスト面から考えても現実的ではない点を考慮したものと思われます。
(注)中小企業とは、簡単に言うと会計士の監査を受けている会社、及びその子会社、関連会社以外の会社を指します。
最新の公益法人関連のメルマガは公益法人特集をご覧ください。